こんにちは。
「笑顔と笑声(えごえ)の専門家」、オフィス Sunny Smile(オフィスサニースマイル)代表の若林みきです。
前回は、「感じがいい接客」について、視線・表情・仕草という視点から考えてみました。
相手に意識を向ける。
→だから、気づくことができる。
→気づいたら、顔を上げ、目を合わせ、笑顔や挨拶を届ける。
そんな小さな行動の積み重ねが、「感じがいい接客」につながるということをお伝えしました。
では、その次はどうでしょう。
お客様に気づくことができたら、すべてのお客様に同じように対応すればよいのでしょうか。
今回は、もう一歩進んで「一人ひとりに合わせた接遇」について考えてみたいと思います。
「研修ではできる」のに、現場ではできない?
集合研修では、接客の基本となる行動を一つずつ練習することがあります。
・笑顔で挨拶をする
・お客様の目を見て話す
・丁寧な言葉遣いで説明する
・必要なことを確認する
一つひとつ練習すると、できる方はたくさんいらっしゃいます。
ところが、実際の現場では、お客様が来店されてからお帰りになるまで、さまざまな行動が「流れ」として続いていきます。
その中では、決められたことを一つずつ行うだけではなく、
「このお客様は何をしに来られたのか」
「今、何を求めているのか」
「何を先に確認したほうがよいのか」
と考えながら対応することが必要になります。
先日、私がスマートフォンショップを訪れたときのことです。
店内はとても空いていたのですが、私が座ると「あちらへお願いします」と別の席へ案内されました。
そして、アンケートへの記入を求められました。
ところが、その後になって本人確認書類が足りないことが分かり、結局その日は手続きができなかったのです。
・(空いていても)決められた席へ案内する
・アンケートを書いてもらう
・本人確認書類を確認する
一つひとつを見れば、決められた手順だったのかもしれません。
でも、お客様の目的は「席に座ること」でも「アンケートを書くこと」でもありません。
手続きをするために来店していますよね。
であれば、まず「今日はどのようなご用件ですか」と目的を確認し、その手続きに必要なものがそろっているかを確認する。
もし先にそれができていれば、不要な移動やアンケートへの記入は必要なかったかもしれません。
「決められたことができる」ことと、「お客様にとってよい対応ができる」ことは、必ずしも同じではないのです。
「マニュアル通り=よい接客」ではない
もちろん、接客にマニュアルや基本の手順は必要です。
特に、新人スタッフにとっては、「まず何をすればよいのか」を知るための大切な基準になります。
しかし、目の前のお客様は一人ひとり違います。
急いでいる方もいれば、ゆっくり説明を聞きたい方もいます。
必要なことだけ簡潔に聞きたい方もいれば、不安があり、一つひとつ確認しながら進めたい方もいます。
たくさん会話をしたい方もいれば、必要以上に話しかけられたくない方もいるでしょう。
だからこそ、マニュアルに書かれていることを、そのまますべてのお客様に同じように行うだけでは十分ではありません。
大切なのは、基本を身につけたうえで、
「目の前のお客様にとって、今、どのような対応が必要なのか」
を考え、行動することです。
お客様が「求めていること」を見極める
では、お客様が何を求めているのかを、どのように見極めればよいのでしょうか。
私は、まず相手をよく見ることが大切だと考えています。
特によく見るのは、
・視線
・表情
・話し方
・声のトーン
・言葉の選び方
などです。
例えば、テンポよく関西弁で話される方に対して、こちらが必要以上にゆっくりと説明を続けると、「それはもう分かっているのに」「早く進めてほしい」と感じられることもあるでしょう。
そのような方には、こちらもある程度スピーディーに説明する。
反対に、不安そうな表情をされていたり、一つひとつ確認しながら話されていたりする方には、少しゆっくりと説明する。
そして、
「ここまででご不明な点はありませんか?」
「○○ということでよろしいでしょうか?」
などと質問しながら、相手の理解度を確認していく。
大切なのは、こちらが話したいスピード、説明したい順番、提供したいサービスではなく、相手の反応を見ながら対応を変えていくことです。
「察する」と「決めつける」は違う
そしてここで、一つ注意したいことがあります。
相手に合わせるということは、見た目や第一印象だけで相手を決めつけることではありません。
「この方はこういう人だから、きっとこうだろう」
と決めてしまうのではなく、まずは相手を観察する。
そして、
「急いでいらっしゃるのかな」
「少し不安を感じていらっしゃるのかな」
「詳しい説明を求めていらっしゃるのかな」
と仮説を立てる。
そのうえで、声をかけたり、質問したりして確認する。
そして、その反応を見ながら、さらに対応を調整していく。
観察する
↓
仮説を立てる
↓
声をかける・確認する
↓
反応を見る
↓
対応を調整する
「一人ひとりに合わせる」ためには、この流れが大切です。
「察する」とは、相手の気持ちを勝手に決めることではありません。
相手から発せられている小さなサインに気づき、「もしかしたら」と考え、確かめながら対応することなのです。
「臨機応変な対応」の土台にあるのは、やはり「CS5原則」
ここまで「マニュアル通りの接客では十分ではない」とお伝えしてきました。
だからといって、接客の基本が必要ないということではありません。
むしろ、一人ひとりに合わせた接遇をするためにも、土台となる基本はとても大切です。
その土台になるのが、私が研修の中でも繰り返しお伝えしている「CS5原則」です。
「CS5原則」とは、表情、挨拶、身だしなみ、話し方、仕草・態度、でしたね。
例えば、お客様に合わせて説明のスピードを変えることができても、表情が硬く、ぶっきらぼうな話し方では、感じのよい接遇にはなりません。
反対に、笑顔も挨拶も言葉遣いも完璧でも、お客様が急いでいるのに長い説明を続けてしまえば、「丁寧だけれど、私が急いでいることを分かってくれていない」と感じられるかもしれません。
まず、CS5原則という基本を身につける。
そのうえで、目の前のお客様をよく見て、その方に合わせて基本の「使い方」を変えていく。
それが接客から一歩進んだ「接遇」につながっていくのです。
まとめ
すべてのお客様に、まったく同じ対応をすることが、必ずしもよい接客とは限りません。
お客様によって、求めていることも、心地よいと感じる距離感も、説明のスピードも違います。
だからこそ、まずは相手を見る。
視線を見る。
表情を見る。
話し方や声のトーンを聞く。
そして、「この方は今、何を求めているのだろう」と考えてみる。
ただし、決めつけるのではなく、必要に応じて質問し、反応を見ながら対応を変えていく。
マニュアルやCS5原則は、接客の大切な「土台」です。
その土台があるからこそ、一人ひとりに合わせて応用することができます。
基本を身につける→相手を見る→考える→相手に合わせて行動する
その積み重ねが、「私のことをちゃんと見てくれている」と感じていただける接遇につながっていくのではないでしょうか。
今日、目の前にいるお客様は、何を求めているでしょうか。
いつもの対応を始める前に、ほんの少しだけ相手を見て、考えるところから始めてみませんか。
あなたの笑顔は、今日のお客様を幸せにしています。
あなたの笑顔は、きっと誰かを幸せにしています。
今日も一日、笑顔でお過ごしください ^ ^
“サービス業に従事する人とそのお客様を笑顔にする”ヒントをお届けする「Smile Message(スマイルメッセージ)」。
お読みいただいたあなたのお役に立つことができれば幸いです。
オフィス Sunny Smile
代表 若林みき


