こんにちは。
「笑顔と笑声(えごえ)の専門家」、オフィス Sunny Smile(オフィスサニースマイル)代表の若林みきです。
前回は、AIやSNSが身近になった今だからこそ、「人と話すこと」「人と関わること」を大切にしたいというお話をしました。
・職場で安心して質問や相談、意見を伝えられること
・困ったときには「助けて」と言えること
・そして、日頃から挨拶や会話を重ね、話しやすい関係をつくっておくこと
こうした職場のコミュニケーションは、一緒に仕事をするための大切な土台です。
では、コミュニケーションが取れている職場とは、「何でも言える職場」なのでしょうか。
今回は、ハラスメントという視点も交えながら、「言うこと」と「言わないこと」、そして「必要なことをどう伝えるか」について考えてみたいと思います。
ハラスメント対策がさらに求められる時代へ
2026年10月1日から、カスタマーハラスメント対策と、求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策が事業主に義務付けられます。
【参考】厚生労働省「令和7年労働施策総合推進法等の一部改正について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/zaitaku/index_00003.html
これまでも職場におけるパワーハラスメントやセクシュアルハラスメントなど、さまざまなハラスメントへの対策が進められてきました。
「ハラスメント」という言葉を耳にする機会も増え、職場での言動について、以前より慎重に考える人も増えているのではないでしょうか。
一方で、
「こんなことを言ったら、ハラスメントになるのでは?」
「注意したいけれど、何も言わないほうがいいのでは?」
と、必要な指導や注意までためらってしまうことがあります。
厚生労働省では、職場のパワーハラスメントについて、「優越的な関係を背景とした言動」「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」「労働者の就業環境が害されるもの」という3つの要素をすべて満たすものとしています。
そして、客観的に見て、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は、パワーハラスメントには該当しないとされています。
つまり、ハラスメントを防ぐために「何も言わない」ことが正解なのではありません。
大切なのは、必要なことを、相手を尊重しながら適切に伝えることです。
「関係性ができているから大丈夫」は、本当に大丈夫?
研修の中で職場のコミュニケーションについて話をしていると、
「うちは普段からコミュニケーションが取れているから大丈夫です」
「この人とは関係性ができているから、これくらい言っても大丈夫です」
という言葉を耳にすることがあります。
確かに、日頃からコミュニケーションを取ることや、信頼関係を築くことはとても大切です。
ただし、「関係性ができているから、何を言っても大丈夫」ということではありません。
例えば、
・誰かを「いじる」
・周囲もその「いじり」に乗っかって笑う
・親しみを込めているつもりで、職場の人を呼び捨てやあだ名で呼ぶ
言っている本人や周囲は、「いつものこと」「冗談」「仲がいいから」と思っているかもしれません。
でも、言われている本人も同じように感じているでしょうか。
笑っているから大丈夫。
嫌だと言わないから大丈夫。
普段から仲がいいから大丈夫。
そうとは限りません。
コミュニケーションは、自分が「どういうつもりで言ったか」だけで成立するものではありません。
相手がどう受け止めているのか。
周囲からはどう見えているのか。
そこまで考えることが大切です。
心理的安全性を大切にするからこそ、「あえて言わない」こともある
私は研修を行う際、特に初対面の受講者の皆さまに対しては、「心理的安全性の確保」をとても大切にしています。
研修中、受講者の皆さまの言動を見ていて、気づくことはたくさんあります。
だからといって、気づいたことをすべてその場で指摘するわけではありません。
「今、この場で伝える必要があるだろうか」
「みんなの前で言うことだろうか」
「今伝えることで、この人の学びにつながるだろうか」
そう考えて、あえて言わないこともあります。
また、その場では言わず、後から個別に伝えることもあります。
「伝えるべきことだから、すぐに言う」
それだけが正解ではありません。
・何を伝えるのか
・いつ伝えるのか
・どこで伝えるのか
・どのように伝えるのか
相手の立場や状況を考えて選ぶことも、コミュニケーションの一つです。
ただし、心理的安全性を大切にすることと、必要なことまで伝えないことは違います。
仕事をするうえで改善が必要なことや、周囲に影響を与えている行動については、相手の成長や職場全体のためにも、適切に伝える必要があります。
人格ではなく、「事実」「行動」を伝える
では、注意や指導が必要なときには、どのように伝えればよいのでしょうか。
大切にしたいのは、相手の人格についてではなく、「事実」や「行動」について伝えることです。
例えば、
「あなたは気が利かない」
「いつもだらしない」
「本当に協調性がないよね」
このような言葉は、相手の人格や能力そのものを否定されたように感じさせてしまいます。
そうではなく、
「先ほど、お客様が来店されたときに、パソコンを見たまま対応していました」
「今日の会議資料は、決めていた時間までに共有されていませんでした」
まず、何があったのかという「事実」や「行動」を伝える。
そのうえで、
「お客様からは、気づいてもらえていないように見えるかもしれません」
「資料を確認する人の準備時間が短くなってしまいます」
と、その行動が相手や周囲にどのような印象や影響を与えるのかを伝える。
そして、必要であれば、
「次からは、お客様に気づいたら一度顔を上げて挨拶しましょう」
「次回は〇時までに共有してください」
と、これからどうしてほしいのかを具体的に伝える。
人格を否定するのではなく、
「事実」「行動」 → 周囲への印象や影響 → 今後どうしてほしいか
を伝える。
これだけでも、注意や指導の伝わり方は大きく変わります。
「何でも言える」より、「必要なことを適切に伝えられる」職場へ
職場のコミュニケーションというと、「何でも話せる」「何でも言える」関係が良いように思えるかもしれません。
しかし、何でも言っていいわけではありません。
相手との関係性に甘えて、言いたいことをそのまま口にすることと、コミュニケーションが取れていることは違います。
一方で、
「ハラスメントと言われたら困るから」
「関係が悪くなったら嫌だから」
と、必要なことまで伝えないことも、相手や職場のためになるとは限りません。
・相手を尊重する
・相手の反応を見る
・伝える必要があることなのかを考える
・そして、必要なことであれば、伝えるタイミングや場所、言葉を選んできちんと伝える
そんな関係があることも、「コミュニケーションが取れている職場」の一つの姿ではないでしょうか。
まとめ
前回は、「話しやすい職場」をつくるために、まずは目を見て挨拶することから始めてみましょう、とお伝えしました。
その先にあるのは、ただ会話の多い職場ではありません。
困ったときには相談できる。
違う意見にも耳を傾けられる。
そして、必要なときには、相手を尊重しながら言いにくいことも伝えられる。
そんなコミュニケーションを、一人ひとりが大切にすることです。
「言わない」ことでも、「何でも言う」ことでもない。
相手を見ながら、必要なことを、適切な方法で伝える。
これが、ハラスメントへの意識が高まっている今だからこそ、改めて大切にしたい“職場のコミュニケーション”です。
コミュニケーションを大切にするあなたの笑顔は、きっと誰かを幸せにしています。
今日も一日、笑顔でお過ごしください ^ ^
“サービス業に従事する人とそのお客様を笑顔にする”ヒントをお届けする「Smile Message(スマイルメッセージ)」。
お読みいただいたあなたのお役に立つことができれば幸いです。
オフィス Sunny Smile
代表 若林みき


